福祉の値段を決める会議の話

リモートで「福祉の値段を決める会議」をしている様子

報酬改定」って漢字4文字が国語辞典に4文字熟語として載っていた夢を見ました。ちゃんさとです。
♯4文字熟語だとしたらどんな意味

さて。
「令和9年度の報酬改定どうなるの??」ってテーマです。

いま、福祉の「値段」を決める会議が動いています。

まだ何も決まっていません。だからこそ、決まる前の今ゆるっと眺めておく価値があるんです。

今日は観戦ガイドのつもりで読んでください。

先日8月27日に「令和9年度障害福祉報酬改定に向けた主な論点(案)について」が行われたのでそちらを確認ください。

ここで話し合われたことをもとにしたものが今日のテーマです。

目次

報酬改定はラーメン屋にたとえると

まず、報酬改定ってなんですか??って方もいるかもなので、説明しておきます。

結論ですが、報酬改定とは、福祉サービスの「値段」を国が決め直すことです。

ラーメン屋さんなら「うち、こだわってるんで1200円です」と自分で決められます。

でも福祉は、全国一律で「このサービスは1日いくら」「1時間いくら」と国が決めている。

それが3年に1回見直されて、次が令和9年度…つまり来年の4月です。

その中身を議論している場所の名前が「障害福祉サービス等報酬改定検討チーム」。

長っ。

でもこれ、他人ごとじゃないんですよ。

事業所で働く人の給料も、サービスの体制も、利用者さんが受けられる支援の形も…元をたどると全部この会議で決まるので。

この夏やっていたのは「聞く」

検討チームがこの夏していたことは、一言でいうと「聞く」です。

全国の関係団体から、順番に意見を聞くヒアリング。

しかも面白いのが、意見の言い方に「お題」が設定されていることなんです。

団体は好き勝手に話すんじゃなくて、「6つの視点」に沿って意見を言ってくださいね、とされている。

  • 制度を続けられるか(費用がすごい勢いで伸びている)
  • 人材の確保・育成・業務負担
  • 経営と賃上げ(物価高の中でどうする)
  • サービス提供体制の過不足
  • 参入が増える中での質のバラつき
  • 重度化・高齢化への対応と連携

……あれ、と思いませんか。

これ、ボクらが現場で毎日ぼやいていることと、ほぼ一緒なんですよ。

人が足りない。給料が上がらない。質がバラバラ。連携が大変。

国のお題と現場のぼやきが、だいたい一致している。

問題は共有されているんです。あとはどう解くか。

ちょっとした変化

この夏のヒアリングを眺めていて、

「お、なんか空気が違うな」と思ったところがひとつあります。

お金の話が正面から出てきたんです。

これまでは、どの団体も「ここを手厚くしてほしい」という要望が中心でした。

でも今回は、団体側から「財源をどうするか」まで踏み込む意見が出てきた。

「利用者負担のあり方を見直して財源をつくるべきだ」という団体もあれば、「日本の障害福祉への支出は国際的に見ればまだ少ないから削る話じゃない」という団体もある。

真っ向から方向が違うんですよね。

どちらが正しいという話は今日はしません。

ラーメンでいうと、
これまでは「トッピング全部盛りで」という注文が並んでいたところに、「いや、予算考えたらチャーシュー盛りすぎじゃない?」「卵は半分にする?」という話が始まった感じです。

「手厚くしてください」の一段先の「そのお金、どこから持ってくるか」がテーブルに乗り始めた。

これは覚えておいていい変化だと思っています。

相談支援ではこんな数字も出ています

ボクは相談支援をやる側なので、ここだけ少し具体的に書きます。

※すべて関係団体からの「要望・意見」の段階です。決定ではありません。

  • 障害福祉の総費用が12.1%急増する中で、質の高い支援に絞って配分していく方向
  • 「望まないセルフプランの解消」や「相談支援の質・提供体制の整備」が論点に明記
  • 相談支援は単独では採算が取れない、という意見が中心
  • 月20件の担当を基本とした報酬設定にしてはどうか(質を高めるなら、標準担当件数39件のままでいいのかという話)
  • 機能強化型の連携要件の緩和や、常勤5人のさらに上の区分の新設
  • サービス提供時モニタリング加算を100単位から200単位へ
  • 訪問が難しい場合、事業所での確認や担当者会議でモニタリングを代替できるように
  • そして一番扱いが大きい印象なのが地域定着支援。315単位を400単位へ、という意見

地域で暮らし続けるとなると、緊急時の対応をどうするのか問題は絶対に出てくる。

だからそこをちゃんとしましょうという流れですね。

決まる前から眺めるから面白い

ここまで読んで、「で、結局どうなるの?」と思いますよね。

まだ、何も決まっていません。

これから秋にかけて論点が整理されて、年末から年明けにかけて、だんだん形になっていく。毎回この流れです。

じゃあ、なんで決まっていない話をしたのか。

決まってから知ると、「また変わったよ、大変だよ」って受け身になるんです。

でも途中から眺めていると、物語として読める。

しかも検討チームの資料も議事録も、全部ネットで無料公開されています。

ボクらの業界の3年に1回の本編がいままさに連載中なんですよ。

みなさんの持ち場ではどの論点がいちばん気になりますか。

ではまたー。

この話はVoicyでも話しています👇

naKaraからの補足|報酬改定を「暮らし」の側から考える

「報酬改定」というと、事業所に支払われるお金の話で、自分の生活とはあまり関係がないように感じるかもしれません。

しかし、報酬の仕組みは、事業所がどのような体制で支援を行えるか、相談支援専門員がどのように関われるかなど、実際に受けられる支援にもつながっています。

特に相談支援では、サービスを紹介するだけではなく、ご本人が「どんな暮らしをしたいのか」を一緒に考え、必要なサービスや支援を整理し、その後も定期的に状況を確認していきます。

制度や報酬の仕組みが変わるときも、大切なのは制度そのものに生活を合わせることではなく、まずご本人の希望や暮らしがあり、そのためにどのような支援を利用できるのかを考えていくことだとnaKaraでは考えています。

今回紹介されている内容は、記事にもあるとおり、まだ検討や要望の段階のものも含まれています。今後、正式な内容が決まった際には、自分が利用しているサービスにどのような影響があるのかを確認していくことも大切です。

相談支援についてお困りの方へ

naKaraでは、障害のある方やご家族からのご相談を受けながら、必要な福祉サービスの整理やサービス等利用計画の作成、関係機関との連携などを行っています。

「制度が複雑でよく分からない」「自分の場合はどのサービスを利用できるの?」「今後の生活について一緒に整理してほしい」といった段階でもご相談いただけます。

相談支援について気になることやお困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

この記事を書いた人

ちゃんさと@精神保健福祉士/相談支援専門員

誰かの「どうしたい?」を聞いて15年。
自分の「どうしたい?」は、誰にも聞かれない。
対人援助職のための部屋を開いています(初月無料)。
障害年金・障害福祉はYouTubeで(3.7万人)。
すり減らない働き方の話→ https://chansato.substack.com

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