大人の夏休み疲れって確実にあるよね。ちゃんさとです。
♯子どもの頃はあんなに楽しかったのに
相談支援専門員として長く仕事をしていて支援会議を数えきれないくらい開いてきました。
相談支援って人を集めるのが仕事みたいなところがあるんですよね。
本人とご家族、就労系の事業所、生活支援をする事業所、行政、医療機関、学校などなど。
ここには書ききれない程多い時もある。
多いときは20人以上がひとつのテーブルに集まるなんてこともある。
みんな真剣だし、みんな目の前の人のことを心配している。
会議もそれなりに盛り上がるんですよ。
「そこは大変ですよね」
「それはキツイですね」
「ここに支援が入れば良いんじゃないです?」
……で、終わってみると…。
誰が、何を、いつまでにやるのかが、全く決まっていない。
♯この既視感ボクだけじゃないですよね??
恥ずかしながらボクもその一人だったことが何度もあります。
「あの事業所さんが動いてくれるだろう」
「なんかあったら連絡が来るだろう」
「ここで決めなくてもなんとかなるだろ」
って。
そう。
ここが今日のテーマです。
人が多いほど誰も助けない
結論です。
この現象には、心理学でちゃんと名前がついています。
傍観者効果といいます。
その場にいる人が多いほど誰も助けなくなるという現象です。
え、逆じゃない?と思いません??
人が多いほうが、助かる確率は上がりそうですよね。
でも、実験で確かめられているんです。
1968年ダーリーとラタネという2人の心理学者が行った実験があります。
学生を別々の個室に入れて、お互いの顔は見えないままマイク越しに話し合ってもらう。その途中で、1人が発作を起こしたふりをする。
さあ、周りの人は助けに行くのかという実験です。
結果はこうでした。
実験終了までを見ると、
- 2人だけのグループ(自分しかいないと思っている状況)→ 全員が行動を起こした
- 6人のグループ → 38%の人が何も行動しなかった
同じ人間なんですよ。
性格が悪いわけでも冷たいわけでもない。
周りに人がいる、というだけで動かなくなってしまう。
これ、けっこう衝撃的だなと思うんですよね。
なぜ動けなくなるのか
理由はいくつかありますが、今日は2つだけ。
① 責任の分散
「自分がやらなくても、誰かがやるだろう」というやつです。厄介なのは、分散するのが責任だけじゃないところ。
非難も分散するんですよね。
「みんな動かなかったんだから、自分だけが悪いわけじゃない」と思えてしまう。2人きりだったら、自分が悪いのは確定じゃないですか。
だから動くんです。
② 多元的無知
名前は難しいですが、中身はシンプルです。
「周りが動いていないんだから、大したことじゃないんだろう」と、誤って判断してしまうこと。これ、めちゃくちゃ怖いんですよ。
全員が周りを見て「大丈夫そうだな」と判断している。でも実は、全員が同じことをやっている。
誰も本当は大丈夫だと思っていないのにも関わらず、場の空気だけが「大丈夫」になる。
これ、支援会議で起きていませんか。
ボクは完全に起きていると思っています。
ここで、大事な補足をひとつ
傍観者効果は、ある事件をきっかけに研究が始まりました。
1964年にアメリカで起きた事件で、「38人の目撃者がいたのに誰も通報しなかった」と報道されたものです。
心理学の教科書にもよく載っている話です。
でも。
この報道、後から誤りだったことが分かっているんですよね。
40年以上経ってからの調査で、声を聞いただけの人、姿を少し見ただけの人、そしてちゃんと警察に通報していた人もいたことが分かりました。
つまり「38人が無関心だった」というのは、かなり誇張された話だったんです。
なぜこの話をしたかというと、ボクらには人を「冷たい」と決めつけがち問題があるからです。
「あの機関、動いてくれないよね」
「あの人、いつも動かないよね」
でも実際は、動いていたのかもしれない。
情報が届いていなかっただけかもしれない。
性格のせいにするのをやめて、状況を見る。
そうすると、人はちゃんと動くんですよ。
責任が、その人のところに戻るからです。
空気を止める勇気と、その前にできること
ここからが、今日いちばん言いたいところ。
いちばん確実なのは、自分が名乗り出ることです。
「じゃあ、ボクが来週電話します」
「じゃあ、ボクが来週見学に行きます」
これを言えるかどうか。
……とはいえ、めちゃくちゃ勇気がいります。
偉そうに言っていますが、ボクも言えなかったことがあります。
言うのめんどくさいな、言ったら大変になるだろうなと思って黙ってしまった場面があるんですよ。
自分の仕事が手一杯で「いや、これは無理だ」と思ったら、黙ってしまう。だから「無理でも言え」という話ではないんです。
でも、誰も動かないまま2週間、1ヶ月が過ぎてしまう。
その間、待っているのは目の前の人なんですよね。そこで、もう少し楽になる方法があります。
先に目標を決めておくことです。
「ゴールはここです。ここまでにこれをやりましょう。じゃあ、誰がやりますか」
これを会議の最初に言っておく。
そうすると、最後にひとりで勇気を振り絞らなくてよくなります。
決めるのが個人の意志ではなく、会議の手順になるからです。
最後に
次の会議で、終わりぎわに一言だけ足してみる。
「これ、誰がいつまでにやりますか」
たったこれだけで、目の前の2週間が変わるかもしれません。
みなさんの現場では、「誰かがやるだろう」で止まっているもの、ありませんか。
今日も小さな一歩で大丈夫です。ではまた。
この話は、Voicyでも話しています👇
naKaraからの補足|支援を「次の一歩」につなげるために
支援には、ご本人やご家族だけでなく、福祉サービス事業所、医療機関、行政など、さまざまな人や機関が関わることがあります。
多くの人が関わることは大きな強みです。一方で、この記事にあるように、「誰かがやってくれるだろう」と役割が曖昧になってしまうこともあります。
だからこそ大切なのは、支援者がすべてを抱え込むことではなく、
「今、何を目指しているのか」
「そのために、次に何をするのか」
「誰が、いつまでに動くのか」
を、ご本人も含めて一緒に整理していくことだとnaKaraは考えています。
naKaraでは、ご本人の代わりに答えを決めるのではなく、「どうなりたいですか」「本当はどうしたいですか」と問いながら、その方自身が次の一歩を選べるような関わりを大切にしています。
計画相談支援では、現在の生活やこれからの希望を伺いながら、必要な福祉サービスや支援を整理し、サービス利用後も状況に合わせて定期的に見直していきます。
支援に関わる人が増えたときほど、「誰かが」ではなく、「誰が、何をするのか」を確認すること。
その小さな確認が、ご本人にとっての次の一歩につながるのかもしれません。
相談支援についてお困りの方へ
「どの福祉サービスを利用すればいいのか分からない」
「これからの生活について一緒に整理してほしい」
「家族のことについて相談したい」
といったご相談も受け付けています。
何から話せばいいか分からない段階でも構いません。現在の状況やご希望を伺いながら、一緒に整理していきます。





