厚労省の会議資料が大量にあって開いた瞬間そっと閉じかけたちゃんさとです。
♯もうヤダ

さて。
本日は「令和9年度はB型が工賃だけで評価されなくなるかも??」ってテーマです。
2026年9月28日に、厚生労働省で「障害福祉報酬改定検討チーム」という会議がありました。
テーマは、令和9年度(2027年度)の報酬改定に向けた、就労系サービスの見直し。
就労系サービスというのは、この5つです。
- 就労選択支援
- 就労移行支援
- 就労継続支援A型
- 就労継続支援B型
- 就労定着支援
この会議の資料を、ボクは全部読みました。
で、読みながら何度も「おっ」と手が止まったんですよ。
特にB型。
いまのB型は、ざっくり言うと「利用者さんに平均でいくら工賃を払えたか」で、事業所に入る報酬が決まる仕組みなんです。
それが、工賃だけで決めるのはやめようか、という案が出てきました。
良いじゃんって思った一方でどうなるんだろってフリーズしてまいました。
B型に通っている方、ご家族、そしてボクら相談支援の人間にとっても、けっこう大きな話なんですよね。
ここが、今日のテーマです。
先に結論から
結論です。
全体の流れは「形だけの支援を締めつける」+「本人に合った道を選べるようにする」の2本立て。
そして大事な前置き。
これは、まだ「案」の段階です。
資料の中は「〜してはどうか」という書き方ばかりで、決まったことではありません。
資料にも「今日の議論をふまえて、論点をさらに追加する予定」とあります。
なので、今日の話は「こっちの方向に動きそう」くらいの温度で読んでもらえたらうれしいです。
B型は工賃だけで決まらなくなる
いちばん大きいのが、ここです。

B型の報酬を、スコア方式に変える案が出ました。
スコア方式というのは、いくつかの項目に点数をつけて、その合計で評価するやり方です。
A型ではすでに使われている仕組みなんですよね。
資料に出ていた項目のイメージはこんな感じです。
- 平均工賃月額
- 支援時間(1日の平均のサービス提供時間)
- 障害の程度
- 地域とのつながり(地元企業との商品開発など。施設外就労もここで評価)
- 本人に合わせた個別の支援
- 支援体制(福祉の経験年数や、有資格者の配置)
- 事業の透明性(外部の第三者評価や自己評価をしているか)
- 守るべき基準を守っているか(守れていないと厳しく減点)
なぜこうなったのか。
資料には「平均工賃月額のみによる評価では、障害の程度が重い利用者に対する支援が適切に評価されていない」という指摘が書かれています。
これ、現場の人間としてはめちゃくちゃ分かるんですよ。
工賃を上げようと思ったら、たくさん作業ができる人に来てもらうのが近道になってしまう。
でもB型って、本来は「いまは雇用で働くのが難しい人」のための場所じゃないですか。
障害が重い方を丁寧に受け入れている事業所ほど、評価が下がりやすい。
この「ねじれ」を、ようやく正面から扱おうとしている感じがします。
ちなみに、平均工賃の計算も少し直す案が出ています。
「年間の開所日数」を、利用者さんの年間利用日数の上限である269日で頭打ちにする。
いまの計算だと、開所日数が多い事業所では、実際に払った工賃より平均工賃が高く出てしまうことがあるんですって。
A型は支援の中身を重く見る
A型の話も少しだけ。
A型は2024年の改定で、スコアの点数を「労働時間」や「生産活動(仕事の売上)」に大きく配分しました。
その結果、赤字の事業所は37.4%(令和5年度)から19.3%(令和6年度)に減ったそうです。
数字だけ見ると、経営はだいぶ立て直ってきたんですよね。
でもその一方で、「稼ぐ力ばかり見て、福祉的な支援が評価されていないのでは??」という指摘があって。
今回の案では、支援の質の点数を増やして、労働時間や生産活動の割合は下げる方向です。
障害の程度や、外部の評価を受けているかも、新しく点数に入ります。
A型もB型も、「稼げているか」だけじゃなく「どんな支援をしているか」を見ようとしている。
ここは同じ方向を向いているんですよね。
在宅支援は狭くなる

ここは、影響を受ける方が多いかもしれません。
コロナ禍で広がった在宅での利用が、かなり絞られる案になっています。
いまは「在宅で使いたい」と本人が希望して、市町村が「効果がある」と判断すればOK、という形なんです。
しかも、その「効果がある」の基準は特に決まっていない。
資料には、在宅支援と称して、就労につながらない自習をさせているだけの事業所がある、という指摘も書かれていました。
案では、在宅を使えるのは「通うより在宅のほうが効果が上回る人」だけにする。
具体的には、この3つです。
- 通うのが難しい人(障害が重い方、離島や豪雪地帯の方など)
- まず在宅から始めて、通所をめざす人(ひきこもり状態の方など)。3か月ごとに市町村が更新するかを判断
- 在宅で働くことをめざす人(原則、就労移行支援に限る)
事業所側も、在宅支援をするなら事前にチェックリストを行政に出す。
在宅での利用分は基本報酬を少し下げる(ただし、しっかりした在宅支援をしている事業所はこれまでどおり)。
そして、カフェなどの「自宅以外の場所」での利用は、ごく限られた場合だけになる。
いま在宅で使っている方は、次の更新のタイミングで「自分はどれに当てはまるか」を確認しておくと安心かもしれません。
B型の入口と更新も変わる
次は、B型を使いはじめるときと、更新するときの話です。

去年(2025年)の10月から、B型を新しく使うには、原則「就労選択支援」を先に使うことになりました。
就労選択支援というのは、本人の希望や力を一緒に見立てて、A型・B型・一般就労などの中から選ぶのを手伝うサービスです。

ただ、50歳以上の方、障害基礎年金1級の方、「働いた経験があって、年齢や体力の面で一般企業が難しくなった方」などは、それを使わずにB型に入れるんですよね。
で、今回の案では。
- B型の新規申請のとき、市町村がチェックリストで判断する
- 「働いた経験」は「雇用契約で働いた経験」とはっきりさせる
- 職場が合わなかった、健康上の理由、スキルの理由などで辞めた方は、就労選択支援でのアセスメント(見立て)が必要になる
さらに、令和9年4月からは、A型を新しく使う方と、就労移行支援を2年を超えて延長する方も、原則として就労選択支援を先に使うことになります(ここは予定どおり進める方向)。
いまの特別支援学校の3年生については、進路に支障が出ないよう柔軟に扱う、とも書かれていました。
そして将来的には、B型やA型を更新するときにも、就労選択支援のアセスメントを条件にする案まで出ています。
背景にあるのは、資料の言葉を借りると「囲い込み」。
一度B型を使いはじめると、本当は別の道もありそうな方がそのまま長く通い続けている、という指摘なんです。
相談支援の出番が増える
ここからは、ボクら相談支援専門員の目線です。
読んでいて思ったのは、計画相談が関わる場面がはっきり増えるということ。
- B型の申請のときのチェックリスト
- 在宅支援の要件の確認(サービス等利用計画案を出す前の段階)
- 就労選択支援の情報提供
特に3つめ。
移行・A型・B型の事業所には、計画相談と連携して、定期的に就労選択支援の情報を利用者さんに伝える義務があるんです。
今回、これができていない事業所には減算(報酬を減らす)を検討する、という案が出ています。
つまり「就労選択支援ってありますよ」という話を、事業所とボクらで一緒に届けていくことが、制度としてもっと求められていく。
就労選択支援の側にも、しっかりクギが刺されています。
- 自分の法人の事業所ばかり見学させる、などの誘導を禁止
- 本人の最終的な希望と、実際に使う事業所が違うときは、その理由を記録するのが必須
- 同じ法人に偏ったときの減算の基準を、いまの8割から3割に引き下げる例まで出ている
「本人が選ぶ」を、ちゃんと本人が選べる形にしよう、ということなんですよね。
移行と定着の話も少しだけ
一般就労への移行や定着の話も、いくつか出ています。
- 同じ就職先に行った人は、実績として5人までしか数えない
- 自分の法人やグループへの就職は0.5人分で数える
- 就職後6か月の支援は、実際に支援した回数や内容に応じて報酬が出る形に
- 短い期間で離職しても、同じ移行支援の事業所が支え続けられるように
- 就労定着支援で、いったん離職しても「定着」と数えられる再就職の期間を1か月以内から3か月以内に
「形だけの就職」を減らして、「つながりが切れない支援」を増やす。
ここも、今回の大きな流れと同じ向きです。
正直モヤっとするところ
ここまで読んで、正直に言います。
方向としては、ボクはおおむね賛成なんです。
工賃だけで事業所を評価しない。形だけの在宅や就職を減らす。本人が選べるようにする。
どれも「そうだよね」と思う。
でも…読みながらずっと引っかかっていたのは、そのしわ寄せが最初に来るのは、利用者さん本人かもしれないということなんですよ。
2024年のA型の改定のあと、全国で多くのA型事業所が閉じて、たくさんの方が職場を失いました。
「制度としては正しい方向」の移行期に、いちばん揺さぶられたのは利用者さんでした。
今回も、在宅の要件が厳しくなれば、「通うのはしんどいけど、在宅ならなんとか続けられていた」という方が、行き場に困るかもしれない。
チェックリストやアセスメントが増えれば、B型に入るまでの時間が延びるかもしれない。
就労選択支援の事業所も、地域によってはまだ足りていません。
だからこそ、ボクら支援者の役割は「制度が変わりました」と伝えるだけじゃなくて。
変わる前に、本人と一緒に「もし変わったらどうするか」を机の上に載せておくことなんだと思います。
♯自分に言い聞かせています
最後に

今日の一歩です。
当事者・ご家族の方は。
いまB型やA型を在宅で使っている方は、次の更新がいつかを一度確認してみてください。
そして、「通うのと在宅と、自分はどちらが合っているか」を事業所や相談支援と一回話してみてください。
まだ案なので、慌てなくて大丈夫です。
支援職のみなさんは。
担当している方の中で、B型に長く通っている方を一人だけ思い浮かべてください。
その方と最後に「これからどう働きたいか」を話したのは、いつでしたか??
ボクも正直、更新の手続きが「いつもどおり」になっている方がいます。♯耳が痛い
制度が変わるのを待たずに、その一回をやってみるのもありかもしれません。
みなさんの担当の中に、B型に長く通っている方はいませんでしょうか。
ではまたー。
参考文献・出典
- 厚生労働省「第64回 障害福祉報酬改定検討チーム」資料(2026年9月28日)
- 同 資料「就労系サービスに係る報酬・基準について≪論点等≫」
- 事業所数・利用者数(令和8年4月国保連データ):B型 20,401事業所・432,419人、A型 4,330事業所・87,251人(同資料p.3)
- 厚生労働省「A型事業所の解雇者の状況(令和6年)」 — 2024年のA型事業所閉鎖に伴う解雇の状況
naKaraからの補足|今回の制度改定案について今からできること
今回紹介した内容は、2027年度の障害福祉報酬改定に向けて検討されている段階のもので、現時点で決定した制度ではありません。
そのため、すぐに利用しているB型事業所を変更したり、在宅利用をやめたりする必要はありません。
一方で、今後制度が変わったときに慌てないためにも、「現在の働き方や通所方法が自分に合っているか」「今後どんな働き方をしたいか」を、相談支援専門員や利用している事業所と話しておくことは大切です。
特に、現在B型を在宅で利用している方や、長期間同じ事業所を利用している方は、次回のサービス更新時期を確認しておくと安心です。
naKaraでは、制度だけを基準にサービスを決めるのではなく、ご本人の希望や生活状況を整理しながら、どのような働き方・福祉サービスが合っているのかを一緒に考えていきます。





