朝のラジオ配信で毎回冒頭で話すのに毎回ちょっと噛みそうになるちゃんさとです。
♯変えた方が良いのでは
さて。
本日は「職場での障害者虐待の8割はお金だった」ってテーマです。
少し重たい言葉が出てくる話です。でも、触れずにはいられないと思ったので書きます。
対人援助職のみなさん、関わる方に「ちょっと聞きづらいな…」って思うこと、ありませんか。
整容面での話で「お風呂に入れているか」とか。
それと同じくらい聞きづらいのがお金の話なんですよね。
「お仕事どうですか?」
「人間関係は大丈夫ですか?」はすんなり聞けるんです。
でも「給料明細、ちょっと見せてもらってもいいですか?」は…さすがに聞けない。
踏み込みすぎている気がするし、自分が聞かれてもちょっと躊躇する。
だからボクも、向こうが言わない限りは踏み込んでこなかったんです。
「大丈夫です」と言われたらそこで終わり。それ以上は野暮かな、と。
計画の見直しでも、働けているかは確認するけど、いくらで働けているかまでは確認してこなかった。
でも…先日、厚生労働省が出した数字を見て、ちょっとだけ考え方が変わりました。
ここが、今日のテーマです。

認められた虐待の8割がお金

2026年9月11日、厚生労働省が「使用者による障害者虐待」の2025年度の状況を発表しました。
「使用者」というのは、雇っている会社の社長さんや上司のことです。障害者雇用も含めた、一般の職場の話ですね。
通報や届出があった事業所は1,663か所。過去5年で一番多い数字です。
そのうち、実際に虐待があったと認められたのが421か所・610人。
そして、驚いたのがここです。
認められた虐待の中身で一番多かったのが「経済的虐待」。
その割合、83.1%。
8割以上がお金なんです。
経済的虐待というのは、たとえばこんなことです。
- 最低賃金より低い給料しか払わない
- 残業代を払わない
- 本人のお金を勝手に使ってしまう
ほかにも、こんな数字が並んでいました。
- 被害があった人の障害で一番多いのは精神障害(36%)
- 働き方はパート・アルバイトが約45%
- 職場の大きさは5〜29人の小さめの職場が約4割
それと大事なこと。この法律でいう「障害者」には、障害者手帳を持っていない人も含まれます。

誰も声を上げていなかった
資料には、実際の事例も載っていました。
発達障害のある方が、パート・アルバイトとして小売りのお店で働いていた。
その時給が、最低賃金より1時間あたり600円も低かったそうです。
しかもこれは、本人や家族の通報ではなく、労働基準監督署が調査に入ったときに見つかったケース。
つまり、誰も声を上げていなかった。
本人も「こんなもんかな」と思っていたのかもしれない。
おかしいと思っていても、言える相手がいなかったのかもしれない。
8割は見つけやすいから8割なのかも

もうひとつ、気になった数字があります。
通報の段階では、暴言や無視などの「心理的虐待」が39%ありました。
ところが、認められた段階になると10%まで減ってしまう。
たぶん、証拠が残りにくいからなんですよね。
給料明細や賃金台帳は紙が残る。でも、怒鳴られたことや、わざと早口で指示されたことは紙に残らない。
資料には、知的障害のある方が、上司からわざと聞き取れない早口で指示され、聞き返すと「もう教えただろ」と怒鳴られ、戸惑うと物を叩きつけられた…という事例もありました。
このケースは家族が通報して認められました。
でも、もし家族が気づいていなかったら。本人が「自分の覚えが悪いから」と思い込んでいたら。
たぶん、どこにも出てこなかったと思うんです。
8割がお金なのは、お金の虐待が多いからじゃなくて、お金の虐待が「見つけやすいから」なのかもしれない。
その裏に、まだ表に出ていないものが眠っている可能性がある。
一番多いのはボクらの業界

ここからは、ちょっと耳の痛い話です。
虐待が認められた事業所を業種別に見ると、一番多かったのは「医療・福祉」。24.2%で、製造業や小売業よりも多いんです。
ボクらの業界なんですよね。
以前、気づきのメモに書いたことがあります。
「人間は負荷がかかるとコントロールできる範囲のものを探したがる」
人手が足りない。余裕がない。
そんなとき、一番弱い立場の人を「コントロールしやすいもの」として扱ってしまう。

偉そうに言っていますが、ボクも余裕がないとき、利用者さんへの言い方がきつくなっていたことがあります。子どもへの言い方がきつくなることだってある。
♯反省しかない
特別に悪い人がやるんじゃなくて、余裕がないという状況が起こしやすいんだと思います。
だからこそ、ボクら自身が一度振り返らなきゃいけない。
ボクらの一言が届いた事例もある
じゃあ、ボクらに何ができるのか。
実は今回の事例の中に、相談支援専門員の通報で見つかったケースがありました。
飲食店で働く精神障害のある方が、上司から怒られたり、髪をつかまれたりしていた。
それを相談支援専門員が聞いて都道府県に伝え、労働局が調査して、事実が認められたんです。
ボクらが聞いた一言が、ちゃんと届くところまで届いている。
ここで知っておいてほしいことが3つあります。
1つ目:「思われる」段階で通報していい
職場で虐待を受けたと思われる人を見つけたら、市町村か都道府県に通報する義務があります。確信がなくても大丈夫。窓口は市町村の「障害者虐待防止センター」です。
2つ目:最低賃金より低くても、すべてが違法とは限らない
労働局の許可を取って最低賃金を下げる「減額の特例」という仕組みもあります。決めつけずに、まず「許可は取っていますか?」を確認する。
10月から最低賃金が上がっています。都道府県ごとに上がる日は違うので、新しい最低賃金が反映された給料明細が届くのはこれから。了解を得た上で一緒に確認するのも今がちょうどいいんです。
最後に
もし今、働いている利用者さんを関わっているなら、少しだけ考えてみてほしいんです。
もしかしたら…って。
ボクも意識しなきゃなってこの話を聞いて感じたところです。
もちろん明細を一緒に見ましょうって話ではないです。
ただ、知らないうちに不利益になっているとしたらという話。
次の面談で「最低賃金が上がったけど、明細見ました?」「よかったら一緒に見ますよ」と一言添えてみる。
今日できることを、淡々とやっていく。
ではまた。
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参考文献・出典
- 厚生労働省「令和7年度 使用者による障害者虐待の状況等」(2026年9月11日公表)。
通報・届出のあった事業所数、虐待が認められた事業所数・人数、虐待の種別・障害種別・就労形態・事業所規模・業種別の割合、事例はこの資料による - 障害者虐待防止法(障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律)。
職場での虐待を受けたと思われる障害者を発見した人の通報義務(第22条)
naKaraからの補足|職場での困りごとを、一人で抱え込まないために
職場での障害者虐待は、賃金の未払いや不当な扱いなど、本人が問題に気づきにくい場合もあります。また、「これくらいは我慢しなければ」と考え、周囲に相談できずにいることもあるかもしれません。
相談支援では、仕事のことだけでなく、日々の生活や人間関係など、さまざまな困りごとについて相談することができます。
たとえば、給与や勤務条件について疑問がある場合や、職場での人間関係に不安を感じている場合も、まずは今の状況や気持ちを整理することが大切です。
必要に応じて、関係機関や適切な相談窓口につながることも選択肢の一つです。
安心して働き続けるためにも、困ったときに相談できる場所があることを知っておいていただければと思います。






